群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
いつも通りの淀んだ夜空の下、久しぶりにあの路地裏の一角に立っていた。
さっきから絶えず漏れる大きなため息は、これから自分の身に起こる事を考えるだけで、憂鬱や苛立ちが募っていくから…。
冬夜との契約のお陰で、しばらくは体を売らなくて済んでいた。
だけど…
あの関係がいつまでも続かない事をわかっていたから、また体を売る為に彼とはもう会わないと決めた。
それなのに…
あたしは、最後に冬夜と会った日から今日までのこの1週間の間に、一度もここに来ていなかったんだ――…。