群青の月
「ちょっと!いきなり何なの!?」


男の背中をグッと睨み付けながら、掴まれた手を勢いよく引っ込める。


「あぁ、ごめんね」


ニッコリと微笑むその表情にも嫌悪感しか抱けなくて、あたしは眉を寄せたまま口を開いた。


「……冷やかしならいらない、って言ったでしょ」


得体(エタイ)の知れない相手に強気な態度を取る事が出来たのは、目の前の大通りにはたくさんの人がいるから…。


男は笑顔を消したかと思うと、今度はあたしの体を舐め回すように見てから嘲笑を浮かべた。


「体、売ってるんだろ?」


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