群青の月
さっきの男とホテルに入ったのは、あれから少ししてからの事…。


「会社があの近くでね……。気分が萎えるから、移動したかったんだ」


半ば強引にあたしをタクシーに乗せてホテルに連れて来た男は、部屋に入るなりため息混じりに笑った。


タクシーの中でも始終つまらない話をする男に興味なんて湧かなくて、流れる景色をボーッと見つめながら沈黙を貫き通した。


「君、本当に喋らないね。まぁ君みたいな子の方が、キャーキャー騒いでばかりの会社の女どもよりいいけどさ。あいつらももうちょっと静かなら、ヤッてもいいんだけどね……」


< 235 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop