群青の月
「あぁ、やめた」


短く答えた男は、どこか吹っ切れたような爽やかな笑みを浮かべていて…


さっきまであたしを睨んでいた男と本当に同じ人間なのかと、やっぱり思ってしまう。


だって…


そう思わずにはいられない程、男の口調は明るく、そして清々しい表情をしていたから。


「てっきり綺麗事でも並べて止めるのかと思ったのに、お前は止めないんだもんな」


楽しそうに話した彼は、あたしの瞳を真っ直ぐ見た。


「……アンタ、自殺しようとしてたくせに、止めて欲しかったの?」


あたしは、嘲笑うように口元を緩めた。


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