群青の月
無意識のうちにバッグの中を探っていたあたしは、そこにあるはずのタバコが無い事にやっと気付いた。


どうして……?


出掛ける前に、新しい箱を開けたばっかりなのに……


働かない頭の中の記憶を必死に辿(タド)っていくと、ホテルでさっきの男に取り上げられた事を思い出した。


そっか……


自分の体を引きずる事で精一杯だったから、拾って来るのを忘れてしまったんだ…。


手元に無い事がわかっていても、今はどうしてもタバコが吸いたくて…


ふと、横断歩道の先に見えたコンビニに足を向けた――…。


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