群青の月
「あの、お客様……」


その声にハッとして、レジの方に視線を戻す。


すると、店員がホッとしたような表情を見せた。


「あの、商品で……」


「あぁ、ごめん」


俺は言い終わるよりも早く、大学生くらいの男性店員からビニール袋を受け取り、入口からこっちに向かって来た柚葉の腕を掴んだ。


その瞬間、弾かれたように顔を上げた彼女は、すぐに目を見開いた。


「……っ!?……アンタ……何で……?」


柚葉が動揺している事は明確だったけど、その表情は酷く疲れているようにも見えた。


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