群青の月
「行くぞ」


そう言って柚葉の腕を引っ張った時には、自分の願望なんてもうすっかり忘れてしまっていた。


とにかく苦しそうな彼女を、少しでもラクにしてやりたくて…


コンビニを出たのと同時に、その体を抱き上げた。


「ちょっ……!」


「いいから大人しくしてろ」


片腕で軽々と抱き上げられる程に軽い柚葉が抵抗を見せ掛けたけど、俺はすぐに彼女を肩に担(カツ)いだ。


だけど、次の瞬間…


「……っ!」


柚葉が苦しそうに息を吐いたかと思うと、咳き込み始めた。


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