群青の月
ベッドルームに入った瞬間、タバコを咥えた柚葉の姿が視界に飛び込んで来た。


「……こんな時くらい控えろよ」


俺はため息混じりに諭しながら、タバコを取り上げる。


「しかも、これ俺のタバコじゃねぇか……」


それは、昨夜に吸うつもりで灰皿に置いたままにしていた、残り一本のタバコだった。


「今切らしてるの。一本くらいいいでしょ」


「ダメだ。体調悪いんだろ?」


「吸ったら元気になるよ」


「その元気があるなら、これでも食え」


桃缶を差し出すと、柚葉が眉を小さく寄せた。


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