群青の月
「止めて欲しいとかじゃなくて……。普通はさぁ、あんな場面見たら止めたりしない?」


「……さぁね」


曖昧な返事をしたあたしに、男がまた小さく笑う。


「お前、本当に変わってるよ。あんな時って、必死になって止めそうなもんだけどな」


「ドラマの観過ぎなんじゃないの?」


「そうかな」


ため息をつくと、男は呟きながら考えるように首を傾げた。


「あたし、嫌いなの……。あんな時に綺麗事並べたりするのとか」


「なるほど」


投げやりに告げたあたしに、男がようやく納得出来たと言わんばかりの笑みで頷いた。


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