群青の月
「どうして電話に出てくれなかった?」


「……別に」


柚葉は、俺から視線を逸らしながら瞳を伏せた。


その時、ペットボトルを持つ彼女の手が、ほんの少しだけ震えている事に気付いた。


「お前が理由を言いたくないなら、俺は何も訊かない。でも、何も言わないまま勝手に契約を破棄するのは、ずるいだろ」


目を合わせようとはしない柚葉の表情が読めないせいで、彼女がちゃんと話を聞いてくれているのかはわからない。


だけど…


それでも、俺は敢えて柚葉の横顔を真っ直ぐ見つめたまま続けた。


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