群青の月
俺に怪訝な表情を向ける柚葉に、眉を寄せながら微笑みを返す。


「お前と一緒にいたい。ただ、それだけの事だよ……」


胸の奥にある“本当の想い”は隠したけど、この言葉だって素直な気持ちだ。


だからなのか、心臓がやけに煩い気がする。


嘘偽りの無い感情を口にする事がこんなにも緊張するなんて、今までは知らなかった。


この時…


俺は自分の事だけで精一杯になってしまっていて、柚葉の事を気に掛ける余裕も無かった。


そんな俺を余所に、ずっと黙っていた彼女がゆっくりとため息を漏らした。


< 253 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop