群青の月
「本当に……いいのか……?」


まだ残っている不安を消したくて再度訊くと、途端に柚葉が不機嫌な表情になった。


「何度も同じ事言わせないでよ、うざいから……」


淡々と話す彼女は、すっかりいつもの強気な顔に戻っていたけど…


その奥には誰よりも脆(モロ)さを隠している気がして、切なさにも似た感情が込み上げて来る。


「契約内容は?」


「……そのうち考えとく」


平静を装って尋ねた俺は、柚葉の答えを聞いて少しだけ拍子抜けする。


同時に心が安堵して、苦笑を漏らしてしまった――…。


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