群青の月
「あ、安眠妨害なんだけど」


吃(ドモ)ってしまった事が恥ずかしかったけど、平静を装っていつものように不機嫌な表情を繕う。


「あっ、悪い……」


すると、冬夜は申し訳なさそうに言いながらあたしの体を離した。


てっきり、いつもみたいに強引に腕の中に閉じ込められるのかと思っていた。


だから…


自分から冬夜が離れるように促したくせに、思わず目を見開いてしまう。


だけど…


簡単に離れた事への理由なんてあたしが訊けるはずも無くて、咄嗟に体を反転させて冬夜に背中を向けた。


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