群青の月
「そうじゃないなら、今はこのままでいろよ」


……何で命令系なのよ?


その言葉を声にしなかったのは、冬夜の腕に力が入っていない事に気付いたから…。


命令系で話したくせに、その腕はどこか遠慮がちで…


彼の行動は、相反(アイハン)している。


そんな冬夜の態度が、あたしに抵抗する気力を失くさせた。


だから、あたしは彼から離れなかったんじゃなくて、ただ何となく離れられなくなってしまっただけ…。


全身を包む温もりに心のどこかで安堵しているのは、きっと気のせいに決まっているんだ…。


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