群青の月
「どうした?」


ふと気が付くと、フリーズしていたあたしの顔を冬夜が心配そうに覗き込んでいて…


「……別に」


ハッとして、咄嗟にいつもの口調で切り返した。


すると、冬夜が安心したように柔らかい笑みを浮かべた。


「何か食うか?てか、俺が腹減ったし……」


彼は、あたしの体からゆっくりと腕を離した。


その瞬間…


あたしを包んでいた温もりも体から離れてしまって、体感温度がスッと下がった。


部屋の中は確かに暖かいのに、体を包む空気がやけに冷たく感じる。


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