群青の月
「昨日の約束、覚えてるか?」


不意に投げ掛けられた質問に眉を寄せて冬夜を見ると、彼がため息混じりの苦笑を漏らした。


「もう忘れたのかよ……」


「そこまでバカじゃないし」


すかさず冷たく言い返したけど、本当はすっかり忘れてしまっていた。


そんな事を知らない冬夜が、あたしと同じように眉を寄せている。


「何だよ……。ちゃんと覚えてるなら、そんな紛らわしい顔するなよ。てっきり忘れてるのかと思っただろ」


不服そうな彼に小さなため息だけを返して、マグカップに口を付けた――…。


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