群青の月
心に芽生えたのは、抱いた事の無い感情。


不快な訳じゃないけど、それをどうしていいのかわからなくて眉を寄せたら、冬夜が困ったような笑みを浮かべた。


「悪い……。別に深い意味はないから、気にするな」


彼は微妙な表情で、あたしの頭に手を乗せた。


その手付きはまるで撫でるように優しくて、そこに感じた温もりは昨夜の冬夜の腕の中を思い出させる。


「気安く触らないで」


あたしは言い終わるよりも早く、彼の手を払い退けていた。


だけど…


触れられた場所に残った温もりが、心に戸惑いを植え付けた――…。


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