群青の月
「……何?」


首を傾げた俺に、柚葉は無言で差し出したままのその手を更にグッと突き出した。


「それは嫌か?じゃあ、こっちの……」


「違うから!」


「タバコならさっき吸ったばっかりだろ?大人しくアイス食べろって」


ため息混じりに、袋の中を漁る。


すると、そんな俺の頬に、柚葉が持っているアイスが押し当てられた。


「……だから、そうじゃなくて!これはアンタのだよ!」


彼女はどこか投げやりな口調で言い放った後、驚いて目を見開いている俺の頬にまたアイスを押し付けた。


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