群青の月
頬に冷たさを感じたのは、その直後だった。


「え……?」


しばらくフリーズしていた俺は、頬に押し付けられたままのアイスをとりあえず受け取る。


その時、自分の頬に触れた指先が異様な冷たさを感じて…


そこには、思った以上に長い時間アイスが押し当てられていたんだって事を理解した。


「……あたし、それ嫌いだから」


柚葉はそれだけ呟くと、俺から奪うように取った袋の中からバニラアイスを出して、怠そうに体を起こした。


キョトンとしたまま顔を上げると、彼女がサッと視線を逸らしてしまった。


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