群青の月
車を運転したのも、金を出したのも、自分(オレ)だ。


だけど…


“柚葉が俺の為に選んでくれた”。


ただそれだけの事が、無性に嬉しくて堪らない。


そして同時に、やっぱり柚葉は心を開いてくれていると思えたんだ。


誰かに言えば、鼻で笑われてしまうようなバカげた事だろう…。


それでも、柚葉の心の中にほんの少しでも自分が入り込めた事が嬉しい。


猫のように気まぐれな彼女にとっては、その行動に深い意味なんか無くても…


俺にとっては幸せを感じられる、そんな温かくて優しいひと時だった――…。


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