群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
「や〜っと帰って来た……」
デモンストレーターのバイトを終えてから1日振りに帰宅したあたしに、不機嫌な顔の母が苛立ち混じりに言った。
「アンタさぁ、帰って来ないのは勝手だけど、お金は置いて行きなさいよ〜!」
酔っ払う程の量は飲んでいないのか、とりあえず呂律(ロレツ)は回っているけど…
部屋の中には、染み付いているのかと思う程のアルコールの匂いが、まるで香水のように漂っている。
「聞いてるのっ!?」
返事をしないあたしに苛立ったのか、声を荒げた母の方からビールの缶が飛んで来た。