群青の月
母の中に“柚葉(アタシ)”と言う存在がいない事は、物心付いた頃には何となくわかっていた。


それでも、まだ純真だった幼い頃は母に笑顔を向けて欲しい一心で、出来る限りの事を頑張ったりもした。


だけど…


結局、母にとっての“柚葉(アタシ)”は、ただの金蔓でしか無かったんだ…。


今となってはそれをよくわかっているから、母に期待なんてしないし。


間違っても、その心の中に入りたいと思ったりもしない。


だって…


初めて体を売らされたあの日から、あたしは全てを諦めるって心に決めたから――…。


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