群青の月
◆Side‥冬夜
【Side‥冬夜】
座るように促した俺の言葉なんて、てっきり無視するのかと思っていた。
だけど、女は意外と従順(ジュウジュン)な性格だったのか、素直に地面に腰を下ろした。
そんな彼女を見ながら吸っているタバコが、今日はやけに苦く感じて…
煙を吐き出す度に、つい顔をしかめてしまう。
「……ねぇ、あたしにも一本ちょうだい」
「ん?」
「タバコ。さっき、切れたから」
「あぁ……」
俺は開けた箱を差し出してタバコを一本渡した後、ジッポを女の顔の前に近付けて火を点けた。