群青の月
バタリと音がして外の景色が遮られた瞬間、バッグから乱暴にタバコを取り出した。


だけど…


手にしたライターの火が点かなくて、益々大きくなった苛立ちを抱きながら忙(セワ)しなく親指を動かし続ける。


時計の秒針や、カチカチと鳴るライターすらも煩わしくて、限界まで募ったその負の感情が更に増幅していくのを感じていた。


やっとの事でライターが火を出した時、あたしの中に溜まった苛立ちがほんの少しだけ緩和して…


それが完全に頭の中から消える事は無かったけど、タバコを吸っているうちに心だけは落ち着いていった。


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