群青の月
ふと、藍色が広がる窓の外が視界に入って来て…


その空の色のお陰で、冬夜との約束の時間が迫っている事に気付いた。


窓を閉めようと手を伸ばした時、フワリと舞い込んで来た風が短くなったタバコの先端から灰を落とし、シンクに残っていた僅かな水と混じった。


ゆっくりと流れていく、灰混じりの一筋の水。


塊(カタマリ)から分裂した細かい灰が、まるで水の中を泳ぐようにユラユラと滑(スベ)る。


あたしはタバコを乱暴に灰皿に押し付けた後、蛇口を捻(ヒネ)って必要以上に水を出し、シンクに残った灰を一気に流した。


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