群青の月
「……どうした?バイトで嫌な事でもあったか?」


「別に……」


意を決して控えめに訊いた俺に対し、柚葉が面倒臭そうにしながらも答えを返してくれた事に、ほんの少しだけホッとする。


「でも、疲れた顔してるな。風呂入って来るか?スッキリすると思うぞ」


「今日はいい……。シャワー浴びて来たから」


「珍しいな」


俺の勧めを断った柚葉の顔を見ながら呟くと、彼女が眉を寄せながらタバコの煙を吐いた。


「……雨、止んでたから」


柚葉はまたタバコを咥え、ベランダの方にゆっくりと視線を遣った。


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