群青の月
タバコを吸う柚葉の横顔には、いつもの艶(アデ)やかな雰囲気は無くて…


代わりに、その瞳がどこか悲しみを帯びているように見えて、今にも泣き出してしまうんじゃないかと思う程だった。


抱き締めたい……


そんな衝動に駆(カ)られ、柚葉の体に腕を伸ばしてしまいそうになる。


だけど…


それをグッと堪え、誤魔化すように雫で濡れたグラスを持った。


見るからに不味(マズ)そうなアイスコーヒーを、一気に飲み干す。


予想通りのその不味さは、自分(オレ)のバカな衝動を抑える為にはちょうど良かった。


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