群青の月
「まぁ、別にめでたくもないけどね」


女は自嘲気味な笑みを落としてから、煙を吐き出した。


同時に、彼女がため息も一緒に漏らしたと感じたのは、たぶん俺の気のせいなんかじゃない。


「どうして?誕生日なんだから、普通にめでたいだろ」


「あたし、誕生日を祝ってくれる人とかいないから。それに……何か、望まれない子だったらしいし……」


相変わらず淡々と話す女は、こんな話をする事に慣れているんだろうか…。


深刻な内容を口にしているはずの彼女がどこか冷めた瞳をしている事が、ほんの少しだけ気になってしまった。


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