群青の月
夢現(ユメウツツ)に耳が微かな衣擦(キヌズ)れの音を何度も捉えて、一人きりじゃないんだって事を強く実感する。


時折小さく揺れる窓の音とか、規則的なクーラーの機械音。


それらには程好い生活感があって、落ち着いた時間を用意してくれる。


そんな音が聞こえるなんて、熟睡は出来ていないのかもしれないけど…


それでも在り来りな生活感を感じるのは、不思議と嫌じゃなかったんだ。


現実とは掛け離れた真っ白な世界は、何だか居心地がいいとも思える。


そんな中、遥か遠くの方で鳴く蝉の声が耳に入って来た。


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