群青の月
左手に感じる温もりに戸惑いながらも、必死に平静を装う。


握られた手には視線を遣らずに、冬夜をグッと睨んだ。


「……これ、何なの?」


「ん?あぁ、これの事か?」


わざとらしく訊いて握った手を上げた冬夜に、冷たい視線で目配せをする。


「柚葉が恐い夢を見ないように、繋いでるだけだけど?」


あっけらかんと答えた彼は、笑顔で手を握り直した。


「心細くなくなるだろ?」


「子供じゃないっつーの。むしろ、逆に嫌な夢見そうだから」


悪態をつくと、冬夜が眉を寄せながら笑った。


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