群青の月
「悪い……」


謝った俺の視線から逃れるように、柚葉が顔を背けた。


「バイトが終わったら家に帰る……」


「そうか……」


小さく返すと、柚葉は黙り込んでしまった。


『明日も来て欲しい』と本音を言えない俺も、同じように沈黙を作ってしまう。


「じゃあ……」


ドアを開けた柚葉によって、気まずい沈黙は破られたけど…


俺が言葉を返す前に、鉄の扉が俺達を隔ててしまった。


柚葉を追おうともしなかった俺の周りには、やけに重い空気が纏わり付いている気がした。


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