群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
人気(ヒトケ)の無いビルのエントランスに、大きなため息が響いた。
ため息をついた直後にハッとするのに、憂鬱な気分が自然過ぎるくらいそれを零させる。
理由は、ちゃんとわかっていた。
認めたくは無いけど…
さっきの冬夜とのやり取りが、やけに記憶に残っている。
そして、頭の中にこびりついているかのように、そのシーンばかりが繰り返し流れていた。
冬夜があんな事言うから……
どうしようもないこの気持ちを誰かのせいにしたくて、あたしは心の中で冬夜に責任を擦(ナス)り付けた――…。