群青の月
あたしは、随分前から他人と距離を置いて生きて来た。


だから…


今、自分が抱いているこの気持ちの名前を知らないのはもちろん、そもそもこんな感情を抱いた事すら無い。


冬夜と会うのが恐い……


そんな風に思うのは、どうしてなのかわからない。


だけど…


あんな事を言っておいて、冬夜にどんな顔をして会えばいいのかわからなくて。


彼の家を出る時、帰りたくも無い自宅(アノイエ)に帰るなんて言ってしまったんだ…。


またため息を零してしまったあたしを包む負の感情が大き過ぎて、“憂鬱”なんて言葉だけでは収まり切らない気がした。


< 350 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop