群青の月
そんな中、たった一つだけ救いがあった。


バイト以外の時間のほとんどをここで過ごすようになった柚葉は、最近になって荷物を置いて行くようになった。


彼女が置いて行くのは、数枚の服や携帯の充電器…。


それらはきっと、簡単に買い直せる物だから無くても困らないのかもしれない。


だけど、柚葉がここに残して行く度に安堵感を抱いた。


もし、また柚葉が俺との契約を破棄しようとしても、荷物だけは取りに来るよな……


そんな淡い期待混じりの打算的な思考が、一人になると不安を感じる俺自身を安心させていた。


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