群青の月
「お金、置いて行きなさいよ」


「この間、ちゃんと渡したじゃん。あれで数日は……」


「はぁ!?何言ってんのよ!あんなの、もうとっくになくなったわよ!」


途端に不機嫌な表情になった母が、眉をしかめながらため息をついた。


「全く……。あれだけで足りる訳ないでしょ!アンタって、本当にバカなんだから!」


母は吐き出す言葉の端々に苛立ちを含みながらも、メイクを施す手を止めたりはしない。


「……アンタさぁ、今いくらで体売ってるの?」


不意に投げ掛けられた問いに、あたしは唇を噛み締めた。


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