群青の月
「ねぇ!いくらよ!?」


畳み掛けるように訊かれて、何とか力を緩めた唇をゆっくりと動かす。


「三万……」


答えを零した声が、微かに震えていた。


この狭い部屋では、それが酷く強調されてしまった気がする。


「安いわね〜」


そんなあたしの様子には気付かないのか、母は不満げな声で独り言のように話している。


「たった、それだけじゃねぇ……。まぁ“初めて”って訳じゃないから、その値段でも仕方ないと思うけどさぁ……」


その事に心のどこかでホッとして、密かに胸を撫で下ろした。


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