群青の月
「ちょっと!」


いつの間にか、あたしは第三者のような気持ちでこの状況を見ていて…


「黙ってないで、何とか言ったらどうなのよっ!?」


怒鳴った母の手から飛んで来た物を、上手く避け切れなかった。


「……っ!?」


額の左側に鈍い痛みを感じた瞬間、呻き声にも似た声を漏らしていた。


反射的に左手で痛む額を押さえ、目眩でふらつきそうになった体を支える為にポーチを持っていた右手を壁に付く。


「痛……」


無意識に零したその声は、自分でも信じられないくらいに抑揚(ヨクヨウ)が無かった。


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