群青の月
目眩を逃がすように閉じていた瞼を開くと、視界に入って来たのは自分の足元。


同時にそこに落ちていた缶ビールを見て、目を見開いて絶句してしまった。


投げられた物が、まだタブすら開けられていない缶ビールだったと理解した時に芽生えたのは、酷く屈辱的な感情だった。


だけど…


痛みのせいで正常に働かない頭では、もう何かを考える事すら面倒だった。


あたしは体を反転させ、壁に背中を預けながらズルズルと腰を下ろした。


そのまま力無く壁にもたれ掛かって目を閉じていると、インターホンが軽快に鳴った。


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