群青の月
左右の足首や足の甲に付いていた汚れを、労(イタワ)るように優しく拭いていく。


汚れを落とした後、濡らしておいたもう一枚のタオルを足の裏にそっと当てた。


俺にされるがままの柚葉は、人形のようで…


傷だらけの足の裏を拭き始めても、小さな呻き声一つ漏らさない。


それでも痛いだろうと思い、出来るだけ傷口を刺激しないように優しく丁寧にタオルを当てていった。


左右の足を拭き終える頃には、タオルの所々に赤いシミが付いていて…


それはまるで、泣く事すらしない柚葉の涙みたいに見えた。


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