群青の月
いつの間にか降り始めた雨が、窓を叩いていた。


何も、言えなかった…。


何も、訊けなかった…。


死んだような瞳で、ただぼんやりと床を見つめている柚葉に掛ける言葉なんて、俺には見付けられなかった。


なぁ、柚葉……


そんな顔をするくらいなら、いっそ泣いてくれよ……


泣いてくれたら、きっと下手な慰めの言葉を紡ぐ事も、その体を抱き締める事も出来るのに…。


雨が、次第に激しくなっていく。


降り注ぐ雨音を聞きながら、この雨が柚葉の傷を洗い流してくれるように、と強く強く願っていたんだ――…。


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