群青の月
答えなきゃっ……!


早くっ……!


早くっ……!


「や……っ……!」


やっとの事で漏らしたのは、蚊の鳴くような震える声。


単語にもなっていなかったそれでは、今の状況を説明するのは到底無理だった。


「今、どこにいるんだ?」


冬夜は、パニックになっているあたしの気持ちを察したかのように、すぐにそう訊いた。


「柚葉、大丈夫だから落ち着け。とにかく、今どこにいるか教えて」


そして、続けて穏やかな声で零された言葉が、あたしにほんの少しだけ冷静さを取り戻させた。


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