群青の月
大通りの方に見えたコンビニの名前、自分の家の最寄り駅名。


それから、路地裏にいる事。


必死で伝えた手掛かりはあまりにも僅かな物ばかりで、どう考えても見付けて貰えるとは思えなかった。


「今、車に乗った。すぐに行くから」


それでも、あたしは砂粒のように小さな小さな期待を抱いて、冬夜の事を待つ事しか出来なくて…


「うん……」


そんな気持ちを隠す事も無く、まだ震える声で小さく返事をした。


「電話、このまま切るなよ。それから、何か他にも目印があったらすぐに言って」


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