群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
「……ねぇ、どうして何も訊かないの?」
そう訊いたのは、あの日から5日が経った夜の事だった。
ピクリと反応した冬夜が、あたしの体を抱き締めていた腕の力を緩める。
そのままあたしの顔を覗き込んだ彼は、目を大きく見開いていた。
「お前……話……」
片言(カタコト)で話した冬夜が、何を言いたいのかはよくわかる。
だって…
あたしが言葉を発したのは、あの日から初めての事だったから…。
冬夜は驚きを隠す様子も無く、ただあたしをじっと見つめていた。