群青の月
「じゃあ、俺からも一つだけ……」


「え……?」


冬夜の言葉に反応したのと同時に、長い指に掴まれた顎。


次の瞬間には彼によって顔を上げさせられたあたしは、その真っ直ぐな視線に囚われてしまった。


顎を固定されていても、目を逸らす事は出来るはずなのに…


まるで冬夜に従うように、視線すらも動かせない。


程なくして、彼がゆっくりと口を開いた。


「……この5日間、どうして何も話さなかった?」


あたしを見つめる冬夜の瞳がほんの少しだけ揺れていて、どこか不安そうにも見えた。


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