群青の月
このまま無視して、さっさと帰ろうと思っていたのに…


「あのさ、名前くらい教えてくれてもいいだろ?ここで会ったのも、何かの縁じゃん?てか、むしろちょっと運命だよな!」


最後の一言に反応してしまったあたしは、思わず意図せずに口を開いてしまっていた。


「はぁ?これのどこが運命なのよ?大体、“運命”なんて、ただの錯覚だとしか思えないし」


「出会った日が誕生日なんて、どう考えても運命だろ?しかも成り行きとは言え、俺の自殺を止めてくれた女なんだしさ」


苛立ちを見せるあたしを余所に、冬夜は楽しそうに笑っていた。


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