群青の月
辛(カロ)うじて持ち出す事が出来たバッグの中に、メイクポーチが入っていた事は幸いだった。


お陰で必要なメイク用品は全部揃っていたし、服も冬夜が貸してくれているチェストに何着か置いてある。


それでも最低限の物しか無いから、服や下着くらいは買い揃えないといけない。


そんな事を考えた後で、自分自身に驚いた。


まるでここに住むかのように考えていた自分(アタシ)がすごく不思議で、自然とそんな事を考えていた事に嘲笑とため息が漏れる。


あたしは、自分の中で“ここにいる事”が当たり前になってしまっている事に気付いた。


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