群青の月
「とりあえず、食パンとコーヒーと……。カップラーメンもいるか。後、柚葉のアイスも」


複雑な気持ちになっているあたしを余所に、冬夜は玄関に向かいながら独り言のようにブツブツと言っていたかと思うと、突然振り返って最後に笑顔でそう付け足した。


だけど…


相変わらず無言でため息を返すだけのあたしに、冬夜は苦笑してから靴を履いた。


「あ……」


あたしもサンダルを履こうと視線を落とした時、ハッとして声を漏らした。


ずっと外に行く機会が無かったから、あの日に裸足で家を出て来た事をすっかり忘れてしまっていたんだ…。


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