群青の月
な、に……?


胸の奥が騒ぎ出す。


“ざわめく”って言葉には当て嵌まらないとは思うけど、抱いた感覚を表現するにはたぶんその言葉が一番近い。


「……どうした?」


あたしの異変に気付いたのか、どこか心配そうに訊いた冬夜に首を横に振った。


平静を装って足を踏み出そうとしたけど、やっぱりその場から動く事は出来なくて…


「やっぱり……行かない……」


ただそれだけ言った後、冬夜から視線を逸らした。


「わかった」


すると、彼はあっさりと納得して、優しく微笑みながら続けた。


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