群青の月
「じゃあ、クーラー入れて、リビングで待ってろ。何か欲しい物はあるか?」


首を小さく横に振ると、冬夜はあたしの頭をクシャッと撫でた。


「了解」


彼が一言だけ残してドアを閉めようとした時、あたしは弾かれたように顔を上げた。


押し寄せて来るのは、不安を孕(ハラ)んだ黒い波。


それがバレないように冷静な表情を繕うあたしに、冬夜はフワリと笑って見せた。


「大丈夫。さっさと買い物済ませて、すぐ帰って来るから」


優しく微笑む彼の顔が、ドアの向こうにゆっくりと消えていった。


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