群青の月
程なくしてからリビングに戻ろうと踵を返すと、さっきまではガチガチだったのが嘘のように、簡単に足が動いた。


その事にホッとしながらリビングのドアに手を掛けた時、何かに導かれるように振り返った。


視線の先には、薄暗い玄関。


今はもう、あの鉄の向こうには行けない気がして…


奥歯をグッと噛み合わせて、逃げるようにリビングに入った。


だけど…


シンと静まり返った部屋の中では、何故か落ち着く事が出来ない。


ソファーに座ったあたしは、少しでも不安を和らげようと、膝を抱えて顔を伏せた。


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